村畑日記

思ったことを自由に書いていきます。

「書評」 失はれる物語 「傷」  乙一 

 短編集だ。「失はれる物語」は2つ目の作品だった。

個人的に一番面白いと感じたのは「傷」だ。作品の面白さに順位をつけるのはあまり意味がないと思われるが、それでもこの話は一番面白かった。

 この話は「アサト」という人物が登場する。この少年はの特殊な能力を持っているのだ。それは体についている傷やあざを別の体に移し替える能力だ。「アサト」はそれを他人のために使った。他の人間を救い始めたのだ。

 こんなこと出来る人はなかなかいない。他人のために自分が傷だらけになるのだ。苦痛じゃないはずがない。また、彼は周りから全く認められないのだ。

 しかし、全く救いがなかったわけではない。彼はいろいろ恵まれていなかったが、痛みを共有できる主人公が現れたのだ。彼らの物語には感情が揺さぶられた。他の作品も感動できるものばかりだった。

 これからも乙一の作品を読み続けようと思う。

 

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

 

「書評」 イニシエーションラブ 乾くるみ 

                         ※一部ネタバレあり

 恐ろしい作品だった。まず、最後の最後まで普通の恋愛小説に見えてしまうところが怖い。最後にどんでん返しが待っているが、それまでは所々にちりばめられた攻略のためのヒントに気付くことはできなかった。 出来た人はいるのだろうか。相当少ない気がする。この作品が読み返される理由がよく分かった。

 最後から2行目に対して、最初は漠然とした怖さがあった。その怖さの正体が良く分からなかったので、ネットで調べたら本格的に怖くなった。犯人がいい人にしか見えなかったからである。

 どんな小説でも犯人らしくない人物が犯人だが、この話は特にそうだ。むしろ被害者だと思ったくらいだ。この話は人が死ぬわけではないが、殺人事件の犯人に匹敵するほどの怖さだった。

 すべてを知ったうえでもう一度読んでみると物語の見方が変わってくる。1回目では犯人の会話シーンを言葉のとおりに読んでいたが、2回目では違う意味だと思って読めるのだ。1回目と2回目でこれほどまでに変わる小説はなかなかないだろう。一般的に叙述トリックが使われている作品は、見方が変わるが、今回は特にそうだった。

 叙述トリックで思い出したのだが、この作品には「十角館の殺人」という小説がチラッとだけ登場する。主人公の部屋に登場するのだ。この作品はかなり有名で僕も読んだ事があるのだが、まさかの攻略ためのヒントだった。まず、この話はミステリ界を震撼された叙述ミステリの作品だ。そしてこの「イニシエーションラブ」も叙述トリックだった。

 「十角館の殺人」が主人公の部屋にあるシーンを読んだときに、叙述トリックあることに気付くべきだった。この本が登場した時に僕は「なつかしいなぁ」くらいにしか思っていなかった。もっと深く思考をめぐらせていれば、トリックに気付けていたかもしれない。

 次にミステリを読むときは、登場人物の持ち物にも気を配るようにしようと思う。

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

「書評」 暗いところで待ち合わせ 乙一

 「暗いところで待ち合わせ」は人間ドラマの作品だ。前回よんだ、「死にぞこないの青」とは作風が全く違った。作者の「乙一」はとても同じ人が書いたとは思えないような作風の違う作品を書くことで有名だ。

 話の内容は「人殺しとして追われている主人公が盲目の女性の家に忍び込む」というもの。かなり斬新な設定だ。

 最初にあらすじを読んだ時はヒヤヒヤした。盲目の女性が何かをされるのではないかということだ。しかし、実際は大丈夫だった。主人公がいい人だったのだ。その後、二人をめぐる人情物語が始まった。

 読み終わったときは心が温まった。とても「死にぞこないの青」や「夏と花火と私の死体」を書いた人物とは思えなかった。「白乙一」と呼ばれる理由が分かったのである。

 しかし一部、「死にぞこないの青」と似ている部分があった。「暗いところで待ち合わせ」の主人公の職場にいる人間と、「死にぞこないの青」の主人公をいじめていた「羽田先生」が似ているのだ。その人が登場するシーンだけ、「乙一」という同一人物が書いている作品だと感じる。

 「乙一」はこれまで様々な執筆名で活動してきたが、「乙一」が書いている事に気付いた人がいたらしい。多分、作風が違っても今回のように一部のシーンから噂がされたのだろう。やはり同じ人が書いた作品は作風が違っても似ている部分があるのだ。

 これからも作風の違う「乙一」の作品をたくさん読もうと思う。次は「失はれる物語」という「白乙一」の作品だ。楽しみである。

 

暗いところで待ち合わせ

暗いところで待ち合わせ

 

 

「アプリ」 とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト) 感想 

    とある魔術の禁書目録スマホゲームが出た。

 僕がこのゲームの存在をしったのはコマーシャルである。そのコマーシャルで「これまでの物語が収録されている」みたいなことを言っていた。アニメの一期と2期を見たのが1年前で少し忘れかけていたので、物語の復習を兼ねてやってみることにしたのだ。オリジナルのストーリーもあるそうなので楽しみだ。

 このゲームはカードゲームとRPGを混ぜたような作品だ。よくあるスマホゲームである。やる前は本当に良いゲームなのか疑っていた。しかしやってみたらなかなか良かった。

 まず、攻撃のエフェクトがカッコ良い。ドラクエ程ではないが、臨場感があった。無料のスマホゲームでこの臨場感なら満足だ。これからもやることにしよう。たとえやらなくなったとしても、ログインボーナスだけは毎日貰いにいくであろう。

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「絵本」 あのウォーリーが1冊にまとまった 「ウォーリーをさがせ! トラベルコレクション」

 コスパ最高な「ウォーリーを探せ」がある。

 それがこの「ウォーリーをさがせ!  トラベルコレクション」だ。この本はこれまでの絵本すべてが詰まっている本だ。

 内容は全く同じである。減っているわけでも、新しく追加された要素があるわけでもない。いつもの「ウォーリーをさがせ!」である。

 この本の一番の魅力は何と言っても値段だ。

 すべての絵本を個別に買ってそろえようと思ったら、1万円近くかかってしまう。子供のおこずかいではキツイだろう。

 しかしこの本ならどうだろうか。「1800円+税」で購入可能だ。これなら子供のおこずかいで対応可能である。

 この本には欠点もある。それは本の大きさだ。普通の「ウォーリーをさがせ!」よりも小さいのである。そのため、「人物」や「目標の物」の探しやすさは格段に劣る。

 しかし本が小さいことはメリットでもある。持ち運びが便利なのだ。普通の「ウォーリーをさがせ」はかさばるが、この本はほとんどかさばらない。いつでもどこでも好きな時間に楽しめるのである。

 僕はこの本にであったのは数年前だが、いまでも愛用している。暇つぶしにちょうど良いのだ。「ウォーリーをさがせ!」に年齢は関係ない。老若男女だれでも楽しめる最高の絵本だ。

 

ウォーリーをさがせ!トラベルコレクション

ウォーリーをさがせ!トラベルコレクション

 

「書評」 連続殺人鬼カエル男ふたたび 中山七里

 前提から騙されていた。

 あらすじを読んだ時からミスリードが始まっていたのである。「あらすじ=真実」であるという思い込みがいけなかった。

 あらすじも本編も、一字一句疑わないといけないという事を学んだ。僕はこれまで何度もミステリ作者に敗北してきたが、今回はトップレベルで悔しい。読み始める前から負けが確定していたからだ。

 これからミステリを読むときはあらすじにも注意しようと思う。特に「中山七里」は、他の作家よりもミスリードが多いので、気を付けなければならない。

 

連続殺人鬼カエル男ふたたび (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

連続殺人鬼カエル男ふたたび (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

「書評」まさかのどんでん返し 「連続殺人鬼カエル男」 中山七里

                                 ※ネタバレあり

    まさかの叙述トリックだった。

 この作品は作者が何度もミスリードをこしらえている。読んでいて何度も騙された。こんなに騙される作品は初めてである。

 最初に騙されたのは「名前」だった。この作品には犯人視点のシーンがある。そこで犯人役として登場するのが「ナツオ」という人物だ。

 漢字ではなく「ナツオ」とカタカナで表現されているのが疑問だった。また、父親から性的な虐待を受けているという点も引っかかっていた。男のような名前なのに性的な虐待を受けるのは不自然じゃないだろうか。もしかしたら「ナツオ」は女なのだろうか。それとも父親がゲイなのだろうか。

 これらの疑問が犯人を暴くヒントになると思って読んでいたが、犯人開示シーンになるまで分からなかった。犯人開示シーンではすべての疑問が氷解した。予想をはるかに上回るどんでん返しだったので驚きだった。

 しかし、なんとこれで終わりではなかった。その後さらなるどんでん返しが待っていたのである。

 その後、もうさすがにないだろうと思っていたら、なんと最後にもう1つだけあった。しかも、次回作の「連続殺人鬼カエル男ふたたび」につながる終わり方だったのだ。あの終わり方を読まされたら次回作も読みたくなってしまう。

 読むことにしよう。楽しみだ。

 

連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)

連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)